広島市のサクラは3月22日に開花となりましたが、今や満開も過ぎ、雨風(あめかぜ)のみならず、
寺院の鐘(かね)の音さえもサクラを散らして行く感がします。桜並木の歩道はさながら雪が積もっているように見えました。
「花さそふ嵐の庭の雪ならで
ふりゆくものは我が身なりけり」
百人一首にありました。
(訳:サクラの花を誘って吹き散らしている嵐(あらし)の日の庭は花びらが雪のように降(ふ)っているように見えます。
しかし、よく考えてみると古くなってやがて散っていくのは我が身でしょうか。)
サクラの見ごろは10日間くらいと言われています。満開になったのもつかの間、散るのも「あっ!」という間です。
――美しくも散って行く花を見ていると、やがては散ってしまう自分自身を感じます。うれしかったこと悲しかったことの過去が走馬灯のごとく駆け巡ってきます。――
作者はこのような内容のことを感じているのでしょうか。
“愛と涙とほほえみにあふれ、今思えば楽しい思い出を・・・”
フランクシナトラの世界的ヒット曲「マイウエイ」が頭の中に交錯しました。
散り行く寺迫公園のサクラ、惜しくもありますがこれも無常、とやら言うものでしょう。
鍬(くわ)の手を休めてしばし見入ってしまいました。